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「いや……お仕事は?」
「昼飯、うどんなら食えるか?」
私の質問は鮮やかにスルーされてしまった。
「うん、まぁ……じゃなくて、蓮さんお仕事に行かなきゃ!! お昼ご飯の準備は私がやるから蓮さんはお仕事の準備を……」
「トッピングは卵とネギと……あと肉も食えるか?」
「れ……蓮さん!?」
「熱いので大丈夫か? もし、さっぱりしたもんがいいなら冷やしうどんでも……」
「蓮さん!!」
全く私の話を聞こうとしない蓮さんに私の口調は思わず強くなってしまった。
ずっと見事すぎるスルースキルを披露していた蓮さんも、さすがにそれ以上スルーできなくなったようで手を止めると、のんびりとした足取りでキッチンからリビングに移動してきた。
私の前で足を止めると、腰を軽く曲げ私の顔を覗き込んでくる。
「美桜」
「なに?」
「なに怒ってんだ?」
「別になにも怒ってない」
「怒ってないのか?」
「うん」
「じゃあ、顔あげろ」
蓮さんの言葉に私は府いていた顔を上げる。
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