第1章

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「言いたいことがあるんだろ?」 「……」 「美桜」 「……」 「分かったよ。俺が悪かった」 蓮さんが少しだけ困ったような表情を浮かべ謝った。 私は、まだふてくされた感を残しつつ尋ねる。 「お仕事は?」 「今日は休む」 「休むって……今は特に忙しい時期でしょ?」 「別に俺がいなくても大丈夫だ」 「で……でも、違さんがいないとみんな困っちゃう」 「美桜」 「え?」 「どうした?」 「なにが?」 「いつものことだろ?」 「いつも?」 「お前が病気の時は、俺が看病する」 「……」 「病気の時は、気を遣う必要はない」 「……」 「そうだろ?」 「……」 蓮さんの両腕がゆっくりと伸びてきて私の身体に絡み付く。
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