第1章

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審判の時はもうすぐそこまで迫っている。 耳を塞いでこの場から逃げ出したい衝動と 蓮さんの本心を聞きたいという気持ちが複雑に入り混じる。 「俺は、正直生んでもらいたいって思ってる」 ――えっ? 「正式な手続きを踏んだ上で籍を入れたいとも思っている」 ――それって結婚ってこと? 「でもそれは絶対って訳でもねぇ」 「どういう意味?」 「確かに結婚して子どもも生んで欲しいっていうのが本音だ」 「うん」 「でも、もしお前に躊躇う気持ちがあるなら」 「あるなら?」 「無理にとは言わねぇ」 「いいの?」 「あ?」 「本当にそれでもいいの?」 「あぁ」 「俺の一番の望はお前だしな」 「私?」
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