@コイノシカタ_1

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あれ? 草壁は早足になり、すぐ駆け足に変わる。 そしてあたしの前を、他人行儀に冷たく通り過ぎていく。 まさかの無視。 あたし、人違いしたかな? 「おーい。クサカベリク君じゃないですかー?」 「……っ」 草壁の骨ばった細長い背中がピタッと止まった。 ほら、やっぱり。 草壁理久じゃん。 あたしが草壁を見間違うなんてことないんだから。 ワナワナと俯いたままの草壁はクルリと向きを変え、今度は早足であたしに近づいてくる。 やっと気づいてくれたのね。 「お前、バカかよ!」 「うん」 「……っ。即答かよ」 「うん」 突然頭上から落ちてきたのは草壁のカミナリで。 さっきあたしが草壁を呼んだ声量より全然大きかったと思う。
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