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あれ?
草壁は早足になり、すぐ駆け足に変わる。
そしてあたしの前を、他人行儀に冷たく通り過ぎていく。
まさかの無視。
あたし、人違いしたかな?
「おーい。クサカベリク君じゃないですかー?」
「……っ」
草壁の骨ばった細長い背中がピタッと止まった。
ほら、やっぱり。
草壁理久じゃん。
あたしが草壁を見間違うなんてことないんだから。
ワナワナと俯いたままの草壁はクルリと向きを変え、今度は早足であたしに近づいてくる。
やっと気づいてくれたのね。
「お前、バカかよ!」
「うん」
「……っ。即答かよ」
「うん」
突然頭上から落ちてきたのは草壁のカミナリで。
さっきあたしが草壁を呼んだ声量より全然大きかったと思う。
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