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朝、教室で草壁と目が合った時から放課後までずっと、昨日の帰り道と同じような空気があたし達の間には漂っていた。
目が合うたび、あたし達は無言だった。
草壁の目はあたしから逸れることはなかったし、何か言いたそうでもなかった。
あたしは自分が透明人間にでもなってしまったのか? と、バカなことでも考えて気を紛らわそうとしたけれど、今日だけはおちゃらけることができなかった。
照れてる場合ではない。
好きな人が真剣になってる日くらい、あたしも真剣に、真面目になろう。
けどそういうのって慣れないから、時間が経つにつれ緊張が増していった。
答えなんてとっくに出ているのに、どこか気弱で心細かった。
草壁の背中は今日もいつも通りに斜め前にあるというのに、時々、別人じゃないか? と思えたし、ここは本当に自分のクラスか? という妙な居心地の悪さもあった。
慣れないことばかり。
草壁ってホント、面倒な人だなぁって笑える。
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