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桜井はあたしの頭を撫でた、というより。
掌でグリグリされた。
桜井の手に従ってされるがままにゆっくりと円を描くあたしって従順なワンコだ。けど抵抗する気力が湧いてこない。
そんなことよりも、慣れないこの不安のほうが勝っている。
「そんな顔するなよぅ。先生も悲しくなっちゃうな」
「キモイ」
何も考えられなくてもここだけは条件反射で間髪入れずにつっこめた。
桜井はあたしの頭から手を離すと「ちっ」と舌打ちし、いつものようにユルイ笑みを浮かべる。
「おぉ。それでこそいつもの佐々木だ」
「もう。からかうだけならあっち行って」
「あれ? 俺にそんなこと言っちゃっていいわけ?」
「は?」
「先生だってね、これでも忙しいのよ。忙しいけど可愛い生徒のためならひと肌脱ぎましょうって、こうして来てやってんのによう」
いやいや……。
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