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体育館の隅っこで小さくなって弓道部の練習を見ていた時と似ている。
似ているけれど、全然違う。
いつからか、どこからかも分からないけれど、音もなく気配もなく、いつの間にかあたしの頭の中にある黒板はキレイに全ての文字が消されていた。
なんにも書かれていない黒板。
からっぽ。
なんにもなくなった。
涙は出てこなかった。
ポッカリなんてカワイイもんじゃなく、ガッツリ穴が開いた感じ。
こんなに大きな穴が開いたなら、スイカの種でも植えてみようかなってくらい。
「待って」
穴が開いた分、どこか軽かった。
感情がない。
まばたきも忘れてしまうほど、あたしはなんにもなくなった。
「待ってよ、佐々木! 違うんだよ」
あたしはちゃんと歩けているのだろうか。
まるで氷の上を滑っているような感覚だ。
なんだ、これ……?
「ヒメカーっ!!」
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