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なまえ、よばれた――
一番呼ばれたかった声で、一番呼ばれたかった名前を、呼んでくれた。
滑っていた足がとまる。
「佐々木のせいなんかじゃ、ないよ」
ちょっと声が遠いな。
さっき姫花って呼んでくれたくらいに話してくれないとよく聞き取れないよ。
代わりにスニーカーの足音が、だんだんと大きく聞こえてくるようになった。
「俺が……頭固くて。好かれたいって思えば思うほど、どうしていいか分からなくなって。好かれたいのに冷たくしちゃって……毎日後悔して」
スニーカーが地面を踏みしめる音が、とまった。
「ごめん。でも、勝手に一人で完結するなよ」
背中からウズウズするよ、ばか……。
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