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「いや、あの、佐々木に見て欲しいし、それに……話したいこともあるし」
「今言えばいいじゃん」
「え、今? い、今は無理だよ。とにかく明日、来いよ」
あは。
いつものちょっと奥手な草壁に戻っちゃったよ。
でも、こういうギャップもまたイイんだよね。
草壁がこちらをチラチラ見ながら歩き出した。
あたしも草壁の少し後ろを着いて歩き出す。
駅に着くまでずっとこの距離感は保たれていて、会話もなかった。
ぎこちない空気と距離感は、お腹の奥がウズウズするようなうれしはずかしな気持ちだった。
駅に着くと草壁はやや唇を尖らせ「じゃあ、な」と片手をあげた。
あたしも同じように「うん。バイバイ」と手を振り、草壁に背を向けると歩き出した。
10歩ほど歩いたところで「あの!」と草壁の声がする。
振り返ると「また明日、な!」と手を振った。
ちょっと積極的になってきてる!?
期待してしまいそうで胸がドキドキした。
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