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そうだけど。
でも違うんだよ、佐々木。
「それはそうだけど。俺はやっぱり下の名前で呼び合うのは親しい証だと思うんだ」
「ふぅん。あたしは“ヒメカ”って呼ばれるのが好き。誰にでもヒメカって呼んでほしいよ」
「えー。それじゃ特別の安売りじゃないか」
「そうかなぁ？ だって“ヒメカ”じゃないとあたし自身じゃなくない？」
佐々木は時々、なにげなく、しかもバカそうに真髄を突いてくる。
佐々木の会心の一撃に上から目線だった俺は何も言えなくなる。
なんだか自分がひどくケチな男に思えてきてすこぶる居心地が悪い。
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