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誰もいないことを確認し、いざ出陣という時に後ろから空に声をかけられた。
俺は後ろ手にトンカチを持っていたから、家の中にいる空には丸見えだったわけで。
隠すつもりのその格好は寧ろ滑稽、コントでしかなかった。
別に悪いことをしに行くわけでもないのに、空にしどろもどろになっていた俺は小心者、だな……。
近所の公園に行き、ラムネの瓶にトンカチを振り下ろす。
やけに大袈裟な音を立てて割れるからまたギョッとしてしまい、慌てて辺りを見回す自分に苦笑しながら、俺は夕方のメイの言葉を思い出していた。
“理久は小心者”
“優しさを勘違いして女の子を傷つける男は多い”
小心者、か。
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