~prologue~

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~test case~ 夜12時を過ぎた頃、1人の男がフロントでこの部屋のナンバーを押す。 カチャと、音がして女性が対応する。 静かなフロントにドアが開く機械音だけが響く。 ドアホンには、黒いニット帽に、黒縁メガネ、口には大きな白いマスク。白いTシャツに黒のジレを羽織った小柄な男性が映っていた。 クリニックの扉から入ってきた男の顔はマスクと伊達めがねで覆われていたが、堀の深い鼻梁と、切れ長の二重を持ち上げる鋭い眼光が目を惹く。 その男は手ぶらでクリニックにきて、診察室に入っていった。
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