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 学校の屋上は意外と人気がなく、しばしの休憩を取るには最適の場所だ。 今日もその屋上で僕は授業の資料なんかを床に置き、曇った空に向かって腕を伸ばし深呼吸をする。 はぁ、とため息のように手を下ろし、僕はもう一度小さなため息をついた。  先日の事である。 「……冗談はよしなさい。罰ゲームだとしたら目を瞑ります」 「いいえ先生。冗談でも罰ゲームでもありません。目を瞑らなくて結構ですよ」  ヒトミさんから一歩下がり離れた僕だったが、目を離す事は出来ずに、どう言おうか迷っていた。 「そうでなくても……いけません。教師と生徒です。そうでなくても、初老の僕をからかってるんですか?」  はっきりと答えなければ、と僕は強く拒否をしたつもりだった。 しかしヒトミさんは、また僕に迫ってきたのだ。 迫ったという言い方はあれだが、そのくらい、強い一歩を踏んでいた。 「まさか、そんな。からかいで愛の告白なんて出来ないししたくもありません。それに老眼鏡をかけた先生が好きだとさっき言ったばかりですよ?」
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