あるダンジョンの消滅

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「さあ! 今日こそ金は用意できたんだよなあ? マキナお嬢さんよ」  男はニヤリと笑った。  彼は借金返済の催促に来たのだ。脳みそまで筋肉でできてそうなガチムチの体型。 「それは、その」  わたしは口ごもった。  いやな汗が吹き出る。  自慢の長くて赤い髪もこわばってる感じがした。 「100万ゴールド! 無いなら体で払ってもらうぜ?」  男は手のひらをこちらに見せた。  今すぐ金を出せ、という意味だろう。 「体で?」  わたしはふるえる声で聞き返した。  どういう意味なのか、なんとなく想像してしまう。  男はいやらしく舌なめずりをした。  やっぱりわたしの想像した通りのことをさせられるのか。  だとしたら強制退学させられるかも。  わたしは冷や汗をかきながら男を見るしかなかった。
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