4人が本棚に入れています
本棚に追加
「ごめんなさい!」
少年の目の前に立つ可憐な少女が頭を下げ、謝罪をしてくる。だが、別に何か悪い事をしたわけではない。
「本当にごめん……」
むしろ悪いのはオレのほうだ。少年は少女の謝る姿を見て思う。彼女には一切非がない。自分が急にあんな事を言ったから……。
今の関係のままでもよかった。でも、どうしても我慢出来なかった。だから勇気を振り絞って思いを伝えた。
たとえどんな答えが返って来ようとかまわない。少年は少女が次に紡ぐであろう言葉を受け入れる覚悟は既に出来ていた。
「鉄巻くんの事、友達だとも思ってなかったから……本当にごめんなさい! 付き合うとか絶対に無理だからぁ!」
叫ぶように言って、彼女は走り去ってしまった。
ほぼ同時に下校時刻を告げるチャイムが虚しく響く。少年にはまるで全ての終わりを告げる鐘のように聞こえてきた。
「はぁ……」
深々ため息を吐いてから、思いっきり空気を腹に溜め込む。
そして、晴れ渡る夕焼けに向かい少年は……
「友達でもなかったんかいぃいいいいいい!!!」
誰もいない学校の体育館裏で涙混じりに叫んだ。
最初のコメントを投稿しよう!