第一章

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   1, 「プッ、アッハッハッハ! まさか友達とも思われてなかったなんてなー! くさり、何でそんな子にコクったんだよ!? 上手くいくわけねぇじゃん」 「う、うるせー! 喋ったこと何度かあったし、いけると思ったんだよ……」  時刻は午後四時を回り、私立大友高校の生徒たちは部活動に属する者はそれぞれの活動施設に、何にも属していない者は続々と帰宅している。  そんな中、学校近くの通学路を歩く二人組がいる。  片方はうなだれ今にも泣きそうな面をし、もう片方はゲラゲラと腹を抱えて笑う対照的な二人組。 「クソ! どうしてダメだったんだよ! 絶対あの子はオレの事好きだと思ったのにぃ……」  泣きそうな面のまま、綺麗にオレンジ色に染まる空を眺めたのは大友高校二年生の鉄巻鎖(てつまきくさり)。  昨日、同学年の女子に告白し見事にフラれた彼は、年頃っぽい整えた黒髪を両手でぐしゃぐしゃとかき乱しながらトボトボと歩く。 「まあまあ。そんなに落ち込むなよ、くさり。フラれちまったもんは仕方ないからさ、どうしてフラれたか考えようぜ」  そんな鎖を半笑いで励ましているのは鎖の同級生、火種猛(ひだねたける)だ。
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