序章

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妹が生まれたとき、俺と親父はなかなか妹に会わせてもらえなかった。 はじめて妹を見たのはNICUと言う新生児用ICUの保育器の中だった。 周りの小さな新生児や、鼻や口に管を入れられた新生児の中で体が小さいわけでも、管に繋がってなくても良い妹は逆に異常に見えた。 妹の顔を見て、思わず息を飲んだのを覚えてる。 ふさふさとした白い睫毛。 一瞬だけ薄く開いた目は金色だった。 目の前の新生児に対して、妹に対して、綺麗だと思った。 アルビノとも違う。 色素の異常で病気がないか疑われ、NICUに入れられた妹。 治療を必要としない妹はその日の内に他の新生児と同じ新生児のベッド室に移された。 並ぶように寝かせられた中でも、妹は特殊な色素以上に特別だと感じた。 他の子供と見た目は違うが、俺を含め、家族にとってはただ嬉しいだけの、大切な新しい家族。 後に解ることだが、妹には生まれつき声帯がなかった。
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