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鞠音は幼稚園でいじめられる事はなくなった。
そう鞠音本人が言っていた。
それでも、何かしら自分で傷をつくって帰ってくる鞠音がいたたまれなかった。
「何で鞠音は自分を傷付けちゃうんだろうな…」
「……。」
『ごめんなさい』
俺の言葉に、鞠音は筆談する。
「あ、せめてるんじゃねえからな?鞠音だって良く解らないでやってるのは知ってるし、でも…、バイ菌入ったりしたら怖いだろ?」
俺の言葉に、鞠音はうつむいて答えない。
感情表現は少ないが、こうして俺と居るときは、鞠音は変なことをしない。
「俺たち双子だったらなぁ…。」
「…?」
「そしたら鞠音とずっと一緒にいられるだろ?そしたら、鞠音は自分を傷付けたりしないで、もしまたいじめられても、俺が鞠音を守ってやれるだろ?」
「……。」
『おにいちゃんは 』
「ん?」
『どうしてわたしをいやがらないの?』
「!…」
『おとうさんも おかあさんも
わたしなんかやだっておもってる
うんざりだとおもってる
おにいちゃんだって かわってない いもうとのほうが
よかったでしょ?』
「…どうかな。」
暫く考えて、俺は困った声で答える。
「父さんや母さんはそんな話してるけど…、俺は鞠音じゃない俺の妹ってソウゾウできないよ。
そりゃ、鞠音が自分を傷付けたりしない方が良いけど…、俺は鞠音じゃなきゃ良かった何て思えねえもん。
だって、それって…、
自分達にとってつごうが良い家族がいればお前がどうなっても良いみたいじゃねえか。」
「……。」
「俺は鞠音が『どうなっても良い』なんて思えねえもん。」
「……。」
『おにいちゃんは かわってるね』
「?…、何処が?」
『ぜんぶ』
「全部?!」
俺のビックリした声に、鞠音が小さく笑った。
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