アリウム・ギガンチューム

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夏みたいに暑い日。 私はとうとう近所の電気屋さんから、扇風機を買ってくることに決めた。 さっそくコンセントを差し込んで、羽のないそこから風が送られてくるのを興味深く観察する。 おしゃれだし便利だけれど、昔ながらの形のほうが私は好きかもしれない。 などとやっていたら、独特の鈍い振動音がして、携帯が鳴ったことを知った。 自分のスマホを確認するけれど、新着は表示されていない。 「もしかして……」 私は誰もいないのをいいことに、独り言を放ちながら、ソファにあるクッションを避ける。 そこから出てきたのは紛れもない、藤堂のスマートフォン。
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