第1章

2/4
前へ
/4ページ
次へ
一行の家路への旅は、滞りなくなく進んだ。 タニール山脈を越え、ニール街道を突き進み、港街ロムダへと到着した。 此処から船に乗れば、故郷に帰れる。 エルスは道中、おかしな事に気付いた。 胸の心臓の辺りに感じる違和感。 そして、まるでその心臓から、木が根を張るかのように、毎日血管がドクドクいっていた。 精神的には力を吸いとられるかのような、衰えの様なものを感じたが、肉体的には、力がみなぎる様な感覚を覚えた。 夜毎、眠る度にあの赤い目をした老人の夢を見た。 何か語りかけるかの様な、嗄れた声。 毎日の様に感じる悪寒は、強くなった。 赤い目をした老人の嗄れ声が、エルスを惑わせた。
/4ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加