三.

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三.

それから三ヶ月程経った頃の事です。 その日、私はぷらぷらと屯所の廊下を歩いていました。 何て事はありません。 ただ親しいのが皆、手一杯だったり留守だったりして、暇だったのです。 その日は珍しく屯所に人気がありませんでした。 何時もはやいやいと五月蝿いくらいなのですがね。 廊下を歩いている間も誰にも会いませんでした。 と言っても、大した時間歩いていた訳では無いのですが。 屯所の奥の大部屋へ続く廊下には幾つかの部屋が並んでいます。 私は暇を持て余していただけで、其処の廊下を歩いていたのも特別意味があった訳ではありませんでした。 部屋は何処もしんとしていて、皆留守なのだな、と私は思いました。
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