三.

2/4
前へ
/33ページ
次へ
けれども並んだ部屋の内の一つを通り掛かろうとした時、私はその部屋の中から異様な気配が漏れ出ているのに気付きました。 何と言ったら良いのでしょうね。 鼻の奥がつんとするような、頭の芯が微かに痺れるような。 そういう僅かな刺激臭を含んだ空気がひっそりと漏れ出ていたのです。 私は怪しんで、その部屋に忍び寄りました。 部屋は、本当に気付くか気付かないか程にでしたが、障子と障子の間に隙間が開いていました。 私は其処からそっと部屋の中を覗き見ました。
/33ページ

最初のコメントを投稿しよう!

10人が本棚に入れています
本棚に追加