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「……いいの?」
少しの間を置いてから、あたしの様子を窺うように訪ねるのん。
いいの?って、さっきまで散々そういう態度だったじゃない。
……今更、なんだから。
「プライベート……では」
こんな事言ったらまた会社以外で会うみたいに聞こえてしまうかもしれない。
けどさっきお店でも『また』って言ってしまったから、……いいか。
それに言っていて恥ずかしくなるけれど、こんな展開に持ち込んだのは間違いなく自分だから、そう言うしかない。
のんは途端に顔の筋肉を緩め
「ありがと」
と言って歯を浮かせた。
真正面からそれを受け、きゅっと締め付けられるあたしの心臓。
あたしはその様子を横目に写した後、髪の横に流れる髪に触れて顔を隠した。
……別に好きとか、そんなんじゃない。
だけど
ちょっとだけ、ときめいたのは確か。
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