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「はぁ、疲れた」
誰もいない暗い夜道を歩きながら、思わず漏れた独り言。
時計の針は、日を跨ごうとしていた。
最近纏めなきゃいけない書類ばかりで、毎日帰りがこの時間。
『また小梅が暇な時、連絡もらってもいい?』
あれから一週間経つけれど、のんに連絡出来ずにいた。
忙しいからか、これ以上のんを深く知ってしまうのが怖いのか。
あたしは重りがついたような足を前後させ、夜空を見上げながら深いため息をはいた。
コンビニに寄ってご飯を買う事が、最近の日課になっている。
体に悪いと思いつつも、時間がないからできないんだ。
コンビニの駐車場を抜け、店に向かっていた、その時。
「小梅」
自分の名前を呼ばれ、ピタッと足を止める。
この声……もしかして。
声の主を予想しながら、あたしはこえのした方向に首を回した。
「……マサト」
予想通りの人物に、あたしは顔が強ばったのが自分でも分かった。
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