803人が本棚に入れています
本棚に追加
マサトは車に乗ったまま窓を開け、こちらを見ていた。
「前もここで会ったから、会えるかと思ってよ」
な、にそれ……
あたしを待ってたの?
マサトはドアを開け、あたしの前まで歩んで来て。
ポケットに手を突っ込み、そして緩く微笑んだ。
「小梅暇?今から遊ばねえ?」
「……は?」
何言ってるの、この人。
目の前にいるこの人は、あたしと1ヶ月前に別れてるよね。
浮気が原因で。
「……訳分かんない、彼女いるでしょ」
「ん?別れた」
「は……」
「だから大丈夫」
大丈夫って、何が?
この人の思考が理解できない。
あたしがまだ好きだと思ってるの?
……あたしはもう、マサトに心動かされない。
何にも思わない。
頭がそう理解すると、瞬時に、完全に引いた、マサトへの熱。
ーーー何でこんな奴、好きだったんだろう。
この人に一喜一憂していた過去の自分が虚しくなった。
そして同時に込み上げる、怒り。
「あたしはね、そんな安い女じゃないの!
バカにするなっ」
最初のコメントを投稿しよう!