浮く花びら

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マサトは車に乗ったまま窓を開け、こちらを見ていた。 「前もここで会ったから、会えるかと思ってよ」 な、にそれ…… あたしを待ってたの? マサトはドアを開け、あたしの前まで歩んで来て。 ポケットに手を突っ込み、そして緩く微笑んだ。 「小梅暇?今から遊ばねえ?」 「……は?」 何言ってるの、この人。 目の前にいるこの人は、あたしと1ヶ月前に別れてるよね。 浮気が原因で。 「……訳分かんない、彼女いるでしょ」 「ん?別れた」 「は……」 「だから大丈夫」 大丈夫って、何が? この人の思考が理解できない。 あたしがまだ好きだと思ってるの? ……あたしはもう、マサトに心動かされない。 何にも思わない。 頭がそう理解すると、瞬時に、完全に引いた、マサトへの熱。 ーーー何でこんな奴、好きだったんだろう。 この人に一喜一憂していた過去の自分が虚しくなった。 そして同時に込み上げる、怒り。 「あたしはね、そんな安い女じゃないの! バカにするなっ」
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