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………!!
バクバクと、踊り出す心臓。
触れられた部分が熱を帯びる。
「だから……その顔、やばい」
夜風がフワリと吹いて、あたしとのんの髪をなびかせた。
……あたし、どんな顔してるんだろう。
のんは苦しそうに眉を寄せ、あたしの頬を撫でた。
あたし、このままのんを受け入れてもいいって思ってる……?
雰囲気に流された訳でもなく、ただのんの事が愛しい、そう思うから。
“期待しても、いいよ。”
そう口にしようとした、その時。
ブーブー
静寂の闇に包まれているあたし達の間に、無期質な機械音が響いた。
「……俺、だ。ごめん」
のんはあたしから手を離し、ポケットに手を入れスマホを取り出した。
「もしもし」
のんはあたしに背を向け、コホンと一つ咳払いをしてから電話に出た。
……あたし、今ーーー!
自分がしようとしていた行動に自分自身で驚き、あたしは思わず口を押さえる。
好き、そう自覚したばかりなのに、のんに伝えてしまいそうだった。
気持ちを伝えるのは悪いことじゃない。
ただ、のんはあたしに“結婚”して欲しいんだ。
……実際、そこまではまだ考えられない。
それが今のあたしの本音なんだよ。
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