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「え?」
「だから、藤原さんと付き合ってるんですか!?」
のんの事を好きと気付いてから2週間が経とうとしている、ある昼休み。
可愛らしい包みからお弁当箱を出しながら、マイちゃんはあたしに迫ってきた。
「付き合ってないよ」
「えぇっ、嘘ですよねっ」
本当の事だもん。
あたしはパックジュースに口を付けながら、マイちゃんに事実を言った。
ーーーあれから。
仕事終わりに電話が来て少し話したり、ケンスケさんのお店に一緒に行ったりはした。
あたしは気持ちを伝えないし、のんも聞いてはこない。
端から見たら少し変な関係かもしれないけれど、今のあたしにはこれがちょうどいいんだ。
「今日、藤原さんいらっしゃるそうですよ」
「えっ!?」
「……ほら、その反応。バッチリ藤原さんに反応してるじゃないですか」
マイちゃんは目を細め、追求してくるような眼差しをあたしに向けた。
あたしはそれから目を逸らし、ミートボールにフォークを刺して口に運び、平常を装う。
「ち、違うよ。……書類纏めてあったのか心配だから。
それより、それ本当なの?」
のんは月末にしか来ないはず。
まだ一週間ほど時間がある。
「本当ですよ、さっき電話あったんです。今日お伺いしますって」
と、口を尖らせた。
本当なんだ……
先週会ったばかりとはいえ職場で合うのは、のんが商品をここまで届けてくれた、あの日以来。
ここでは“藤原さん”に戻るのかな。
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