流れる花びら

7/15

801人が本棚に入れています
本棚に追加
/100ページ
あ、ここちょっとヨレてる。 大きい鏡に自分を写しながら、ファンデーションを塗り直す。 眉も薄くなった所を書き足して…… 直したい所は沢山あるけれど、時間がギリギリだから最低限の事しか出来ない。 でもやっぱり、でものんの瞳に少しでも綺麗に映りたい……から。 腕時計を確認して、化粧ポーチを片付け駅のトイレから出た。 「……良かった、まだいない」 待ち合わせ場所の時計の下にのんの姿はなくて、安堵の息を漏らす。 と、同時に鞄が震え、腕に振動が響いた。 こんな時間に誰だろうと思いつつ、手を突っ込みスマホを取り出し、ディスプレイを確認する。 着信 藤原典明 のんから? どうしたんだろう。 「もしもし」 『あ、小梅? ごめん、今日なんだけど』 この切り出し…… もしかして、ダメになっちゃったかな。 雰囲気でそう感じ取り、高まる鼓動が収まっていくのが分かった。 『俺のいとこも同席したら……ダメかな』
/100ページ

最初のコメントを投稿しよう!

801人が本棚に入れています
本棚に追加