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席の前まで行くと、スーツの人があたしに気付き立ち上がった。
瞬間、視線が合う。
わ……
さすがのんのいとこだな。
雰囲気は違えど、イケメンだ。
「小梅、いとこのしのちゃんだよ」
「のん、普通最初はあだ名ではなく、本名を紹介するものだ」
「あっ、そっか。藤原忍さんだよ」
「のんがいつもお世話になっています。
藤原と申します」
可愛いやり取りを呆然と見ていたら、不意に頭を下げられあたしも慌ててそれに返す。
「はっ、初めまして!
櫻木小梅です」
「はは、可愛いらしいお嬢さんですね」
「えっ」
いや、社交辞令だって分かってるんだけど!
イケメンさんに真っ直ぐ見られてそんな事言われたら、嫌でも反応しちゃうよね。
「小梅はこっち!」
「わっ」
いきなり腕を引かれ、のんの隣に座らされた。
……?
いつも優しいけれど、今のはちょっと強引だったような……
「しのちゃん!
小梅誘惑するの止めて」
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