流れる花びら

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ゆっ、誘惑って……! のんってば何言ってるの。 あたしが隣でアワアワとしてのんを見上げると、至って真剣ながら面持ちで。 ……ほんの少し、キュンとした。 そんなあたし達2人を前にして、忍さんはフッと笑みを零した。   「していない。 取らないから安心しろ。 それに俺には」 「凜ちゃんがいるもんねっ!?」 忍さんの言葉に被せるように、のんの口から出た女性の名前。 りん……ちゃん? 忍さんの彼女さん、かな。 それは分かってても…… 何だか、モヤッとしてしまう自分がいる。 「そういう事だ。だから安心しろ」 お品書きに目を通しながら、至極当然のように言葉を放つ忍さんは、清々しい。 「小梅も! しのちゃんばっか見てたらダメだからね」 眉を潜めながらあたしに向かうのん。 心配なら会わせなきゃ良かったのに…… 何でわざわざ会わせたんだろう? ーーーそれに忍さん、あたしの事聞かないよね。 のんから事前に言ってあるのかな。     幾つか疑問は湧き出るけれど、のんの様子を見ていたら別に不満は感じなくて、深く考えないことにした。
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