流れる花びら

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「しのちゃんは昔からキッチリしててねー」 箸もアルコールも進み、今隣にいるのはハイテンションの、のん。 “この”のんは、最初にここで食事をした時以来だ。 あの時以来食事をしても、のんは一切アルコールに手をつけていなかったから。 あの時の事をよっぽど気にしているんだろうな。 だからこそ、のんが今日アルコールを摂取したのに驚いた。 忍さんがいるから、なのかな。 聞く事はせず自分の中でそう解釈し、のんの思い出話に相槌をうった。 「いつまでもしのちゃんって呼ぶなよ」 「えーっ、だって昔から呼んでるんだから今更変えられないよ」 「いい年こいて、いい加減気持ち悪い」 「ひどいなー」 本当コントみたい、この2人。 見てて飽きないな。 口元を緩めながら、あたしも話題に入ってみる。 「忍さんはおいくつなんですか?」 のんよりは確実に上だよね。 でものんは若く見えるからなー…… 「私はー」 「俺の一個上!」 あたしの質問に答えてくれたのは、忍さんの声に被せた、のんだった。
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