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「……」
「……」
のんの様子に、あたしも忍さんも言葉を失う。
そして忍さんはプッと吹き出した。
「のん、お前は可愛い奴だな」
「しのちゃんに言われても何にも嬉しくない」
「はは、分かった分かった」
本当に仲が良いんだろうな。
見ているこっちまで、穏やかな気持ちになれる。
「……小梅まで、何笑ってるの」
微笑ましくて、つい口元が緩んでしまっていたみたいで。
ジロ、と不機嫌そうなのんに横目で見られた。
「べ、別に……」
「もう、2人して俺を虐めるんだ」
疎外感を感じたのか、のんは頬に空気を入れ抗議を始めた。
……あたしより、3つも年上なんだけどな。
のんに少し呆れつつも、可愛い、なんて思ってしまう自分もいて。
あたし自身に心でため息をついた。
「のん、あたしちょっとお手洗い行ってくるね」
「逃げたー」
後ろからぶつぶつと小言が聞こえたけれど、あたしはそのままトイレに向かった。
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