流れる花びら

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鈍器で頭をぶつけられた気がした。 足がぐらっとフラついたけれど、グッと力を入れ立つ事だけに必死な自分。 今、何て言ったの……? のんは結婚を急いでる? ーーーお母さんの為に? 頭の中にある、バラバラのパズルのピースが カチッと音を立て、当てはまった。 “交際”ではなくいきなりの“プロポーズ”。 “交際”もしていないのに、“親戚”に合わせる。 ……こういう、事だったんだね。 あはは、あたしバカみたい。 スッカリ騙されて、まんまと罠にはまって。 そんな事も知らずに ……好きに、なっちゃったじゃない。 ボタッと、瞳に溜まりきらなかった涙が床にシミを作った。    ばか ばか のんのバカ。 あたしはそのまま走って店を飛び出した。 後ろなんて振り返らずに ヒールなんてお構いなしに。 出せるだけの力を出して、なりふり構わず走り続けた。
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