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「いらっしゃいませ」
いつものように笑顔を作り、接客をこなす。
うん、何も変わらない。
いつも通り。
「先輩、休憩お先でした」
「じゃああたし行ってくるね」
表に戻ってきたマイちゃんと交代して、お昼をとるために事務所に行く。
お弁当を取り出そうとロッカーから鞄を取り出すと、チカチカとランプが点滅しているのが目に入る。
あたしはそれを確認しないまま、お弁当袋だけを取り出した。
……連絡主は分かってる。
だからこそ、みて見ぬ振りはしか出来ないんだ。
のんに最後に会ってから、一週間が過ぎようとしている。
あの後、あたしを追いかけて来たらしいのんは、家にまで来た。
インターホンを鳴らされたり、声を掛けられたりしたけれど。
何も聞きたくなかったあたしは、布団を頭から被り耳を塞いでいた。
何回もある、着信。
メール。
留守番電話。
あたしは全てを、無視していた。
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