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その日は奇しくも星蘭も紅緒も留守だった。
レンは見計らったように
僕の書斎にやってきた。
「ねえ、子爵様――足の包帯、巻き直すの手伝って欲しいんだけど」
床を引きずる長い包帯を片手に
ノックもなく現れた堕天使は
片足立ちで書斎のドアにしなだれかかる。
「いけませんレン様……!」
傍らにいた潤が、礼儀知らずの居候におろおろして声を上げた。
「子爵様はお忙しいのです。そんな事でしたら私が――」
レンは冷静に僕を見つめたまま
肩をすくめブロンドの髪を揺らす。
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