第3章

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『橘さん、おはよう』 しかしこの人だけは違った。 『遠野課長、おはようございます』 彼は派遣社員、正社員関係なく誰に対してもきちんと名前を付けて挨拶をする、珍しい人だった。 勿論私のような愛想のない人間にでも。 大きくて少し垂れぎみの優しい瞳、スゥーっと 通った高い鼻に、形の良い唇。 背が高くて細身の体にはスーツがよく似合う。 彼はこの甘いフェイスで、一人一人にきちんと名前を付けて挨拶をする。 それに加え、32歳という若さで既に課長。 女子社員に人気がないわけがなかった。
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