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いつまでも鼓膜に染み付いて離れないハルトの言葉。
気持ちが一つになったあの日、あの瞬間から、それは決して何一つ色褪せない言葉。
“大好きだよ”
いつもいつも。
あなたの言葉に、ほんの一瞬の淋しささえも吹き飛ばされていく気がします……
名残惜しく電話を切って、そそくさと携帯を鞄の中にしまった。
それにしてもやっぱり恥ずかし過ぎる。
火照る頬を隠すみたいに傘を差し直して、何事もなかったかのように濡れたアスファルトを踏みしめた。
夜で良かった。
雨降りで良かった。
いつもこんな電話の切り方してるとか、誰かに見られたら確実に罵られる事、間違いなし。
「……このバカップル!」
そうそう、そんな感じで……
「……って。な、なっちゃん!」
傘を少しあげて正面を見据えると、あたしの家の前に仁王立ちで待ち構えていたのは親友の“浅井なのは”……なっちゃん。
「相変わらずラブラブ過ぎて、呆れちゃうわ」
そんな意地悪な口振りながらも、彼女はニッコリとあたしに微笑み掛けた。
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