June bride

11/100
前へ
/100ページ
次へ
今日は久々になっちゃんと二人きりの女子デート。 朝からウキウキしてたのには、勿論これもある。 高校時代からの親友ではあるけれど、最近お互いに仕事が忙しくなってなかなか会う機会もない。 女子トークを炸裂しながら少し早めの夕食を済ませ、彼女に促されるがままウインドウショッピングへと足を運んだ。 「ヒカル、見て見て。すっごくカワイイよ」 オシャレなジュエリーショップに飛び込んだなっちゃんが感嘆の声をあげる。 あたしには似つかわしくない、ちょっと高級なジュエリーに囲まれてドキドキしながら彼女の元へ向かった。 「ほら、見て~」 なっちゃんが差し伸べた指先の付け根には、目映く光る宝石の輝くリング。 「わ、本当。綺麗だね」 思わず口を開くと、彼女はにっこり笑ってあたしの背中を押す。 目の前にずらりと並ぶ、リングのショーケースに、思わずごくりと息を飲んだ。 「ヒカルもつけてみたら?」 「えぇ?あ、あたしはいいよっ」 綺麗な宝石だとか、素敵な指輪だとか、興味がないと言う以前にあたしには縁がない代物。 ぶんぶんっと大きく首を横に振り続けると、彼女はクスクスと笑ってあたしの手を引いた。
/100ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1408人が本棚に入れています
本棚に追加