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「実は……結婚式をあげようと思ってるんだけど……ヒカル、来てくれる?」
なっちゃんの口から、“彼氏”の名前を聞いた事はない。
だけどずっと付き合っている人がいるのは知っている。
誰にも言えない人。
多分なっちゃんの彼はあたしの知っている人だけれど……お互いに決して名前は出さない。
「……本当?な、なっちゃん!良かったねっ」
「ヒカル……」
「行くよ。絶対行く!すっごく楽しみっ」
自分の事のように嬉しくて、咄嗟にギュッと彼女の手を握り締めた。
「本当は二人だけでこっそり挙げればいいかなって思ってたんだけど……ヒカル、絶対来て?」
「うんっ」
もう一度大きく頷いて見せると、なっちゃんははにかんで笑って。
「本当……楽しみ」
そう言って、伏せた睫毛を儚げに震わせた。
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