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「うぅっ……ハルト……」
『ふははっ、感動し過ぎ』
「もうっ、意地悪っ!」
だって声を聞くだけで、胸がじーんと熱くなるのに。
そんな優しい台詞まで貰っちゃったら、感動どころの話じゃない。
……遠く離れて暮らすあたしの彼、伊達ハルト。
弁護士を目指して漸く司法試験に合格した彼はただ今、司法修習の真っ只中。
彼が所定の配属地に旅立って、もうすぐ半年。
ハルトの夢を邪魔したくないから。
あたしは一緒について行く事を選ばなかった。
初めて出逢ったあの日から、もう8年。
大人に生かされていたあたし達はいつしか大人になって、自分達で選んだ道を今、歩いている。
『ヒカルはちっとも変わらないね』
電話の向こうで彼がクスクスと笑う姿が、こんなにも簡単に思い描ける。
ハルトの一言一言が、こんなにもあたしの胸をドキドキさせる事。
二人を取り巻く世界が少しずつ色を変えても、ハルトに対する気持ちはずっと変わらない事。
きっと、あなたは知らないでしょうね。
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