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「……」
『ふぅーん……言えないの』
「……」
『……』
一瞬だけ携帯電話を耳から外し、右へキョロキョロ、左へキョロキョロ。
身が隠れる程に傘を深く差し直して、小さく深呼吸。
周りに誰もいない事を確認してからゴホンっと咳払いを一つすると、電話の向こうでハルトが楽しそうに笑う声が聞こえてきた。
「あの……ハルト。その……大好き、です……」
『……』
うわぁ。
お願いだから、早く何か言って。
恥ずかし過ぎて倒れそうだ。
もう一度電話を耳に寄せると、ゆっくりと噛み締めるように言い聞かせるように、耳の奥を震わせた甘い囁き。
『うん……俺も。ヒカルが大好きだよ』
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