第一章

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1863年。 この時期の京の名物といえば、 天誅と新選組だろう。 政権を握ってから早、二百年以上… 徳川幕府には、家康公や家光公の時の勢いなどなく、 世は既に、 武家社会の終焉を匂わせていた。 戦の無くなった昨今、武士の人口に比べ、彼らの仕事量自体が少なく、家督の継げない次男坊以下や、足軽などの下級武士、又、中間などの小者らには、職がない。 武士の失業者は多く、町には浪人が溢れていた。 更に、職は有っても禄高の少ない下級武士なんて、食うや食わずの生活で、 要するに、 それは年貢米の分配という、経済制度の限界というか、武家社会の経済的破綻を表していた。
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