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チラッと、組長がいるであろう場所に顔を向けました。すると、凄まじい速さで何かが動きました。
残像からするに、やはり組長の様ですね。
「組長…一緒に食べませんか?」
「‥‥‥」
呼びかけてみますが、組長の反応はありません。しかし、しばらくすると組長が壁からチラッと顔を出しました。
不意の可愛さに思わず胸がキュン。
「…本当は心底食べたいが、日頃の天宮への態度で、食べたいと言い出せないようだな」
「はっ、自業自得とはまさにこの事でィ」
「確か総司の奴、今金欠で甘味食ってないんだよな。斎藤が言う様に心底この団子を食いたいだろうな」
「総司は無類の甘味好きだからな。まぁ、だからと言ってやるつもりはない。世の中は弱肉強食だ。食い物に情けなんかもたねぇ」
皆さんがザマみろと言う様に、誰一人組長に団子を渡そうとしません。
こっちを見る組長の目がだんだん鋭くなっていきます。
…後々が恐ろしいですね。
そうこうしている内に、みたらし団子は斎藤さんが持っている一本だけとなりました。
斎藤さんがみたらし団子を持って組長に近づいていきます。
そして組長から少し離れた場所から、みたらし団子を左右に振り出します。
すると、組長がみたらし団子に釣られて壁の影から出てきました。
ふたりの行動はまるで“ねこじゃらしを狙う猫”を連想させます。
さっきから私は、みたらし団子に釣られる組長が可愛すぎて、笑いを堪えるのに必死です。
(猫宮様作 藤堂平助です)
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