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もう一度みたらし団子を作り、それを組長の部屋に置いた後、私は外に干していた洗濯物を取り込んでいました。
洗濯物を取り込みながら、何度も手を止めてしまいます。
さっきから、組長の部屋に置いたみたらし団子が気になるのです。
味見はしたので味の方は大丈夫だと思うのですが、組長に食べて頂けるか不安です。
捨てられていたらやだな…。
無残に捨てられたみたらし団子を見たら、しばらく立ち直れそうにありません。
「……あっ!」
思わず、辺りも気にせず大声を出してしまいました。すると、庭を歩いていた隊士の人達が私の方を見ました。
すぐに「何でも無いです」と言って、手を動かし始めます。
大声を出してしまった恥ずかしさと、さっき頭を過った不安で体が熱くなっていきます。
…私は、気付いてしまったのです。
「書置きしておくの忘れた…」
組長の部屋に、みたらし団子の事を書置きして置こうと思っていたのに、すっかり忘れていた。
あれじゃ、誰の団子か分からないじゃないですか。
書置きも無かったら怪しさ100%のみたらし団子ですよ。
私はとんでもないミスを犯してしまった。
書置きも無いみたらし団子が机に置かれていたら、普通、食べたくないですよね。
何てことだろう。私は自ら作った希望を、自らの手で壊してしまいました。
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