4486人が本棚に入れています
本棚に追加
/770ページ
今この時こそタイムスリップをしたい。一時間ぐらい前でいいから。
でも、師匠がいませんからおそらく無理ですよね…。
あ゛ぁ~…、私はなんてミスを犯したんだろう…。
自分の詰めの甘さに項垂れていると、背後から足音が聞こえてきました。
「ちょっと…良いかな?」
背後から聞こえた声に、胸が一際大きく高鳴りました。
だって、私に話し掛けてくれたのは…組長だったから。
「あの…何か?」
組長から嫌味以外で話し掛けられたのは初めてで、私はどんな反応をすればいいか分かりませんでした。
とりあえず、組長としっかり向き合いました。
でも、目を合せることが出来ない。
「僕の部屋にみたらし団子を置いてくれたのは君‥、だよね?」
「あっ…はい」
「僕の為に作ってくれたの?」
「はい」
すると組長は「やっぱり」と言いました。
書置きもしてなかったのに、組長は私のだと分かってくれたんだ。
驚きと同時に現れた喜びで、思わず口元が緩んでしまいます。
「それでね…あの‥そのぉ…」
すると、組長が髪を撫でながら歯切れの悪そうにしました。
どうしたんでしょうか?
やがて、組長がギュッと拳を握りしめました。
「あのさ!」
「はっ、はい!」
突然組長が大声を出したので、体がビクゥッとなりました。
最初のコメントを投稿しよう!