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ある日の正午。
私は包みに包まれたみたらし団子を抱えて町の中を歩いていました。
そして、川原へ行くと目的の人物がいました。
「坂本さん」
名前を呼べばその人は私の方を向きました。
最初は警戒した目をしていましたが、私の姿を完全に捕えると、柔らかなものへと変わりました。
「蒼蝶、久しぶり」
「はい、お久しぶりです。お隣、いいですか?」
「ああ、いいよ」
坂本さんの隣に腰を降ろしました。
「…?どうかしましたか?」
私の事をじっと見ていた坂本さん。首を傾げると、フッと笑みを浮かべました。
「…いや。島原で会った時よりも、明るい顔をしてるなって思った。何か良い事でもあったか?」
「へ?どうして分かったんですか?」
坂本さんに見抜かれて思わず間抜けな返事をしてしまいます。
それが可笑しかったのか、坂本さんはクスクスと声を押し殺して笑いました。
恥ずかしさのあまり顔が熱を持ちます。
「…やっぱり。蒼蝶の顔を見たらすぐに分かったよ」
「そうですか…」
将来偉人となるお方は、素晴らしい観察力を持っているようですね。
でも、坂本龍馬はこの国を変える人なんだ。日本だけではなく、世界を見ている人。
やはり、誰よりも広い視野を持っているからこそ、観察眼にも優れているのかもしれない。
そう思うと、自然と納得できます。
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