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「もう最後か…」
坂本さんが最後の一本を手にした瞬間、背後から人影が伸びました。私は咄嗟に傍に置いてあった師匠の刀を手に取ります。
しかし、それは坂本さんの手によって阻まれてしまいました。
「刀を抜く必要はない」
「ですが…」
「こいつらは俺の仲間だ。なぁ、ヅラに稔麿」
ヅラ?稔麿?
坂本さんの口から出た言葉に疑問を覚えながら、背後に顔を向けました。
背後には二人の男性。
一人は綺麗な黒髪を結わえ、流し髪をしているこれまた美形の人。
もう一人は短めの髪をした人で、なぜか怒っています。
すると突然、怒った人が坂本さんの胸倉を掴みました。
いきなりでアワアワしている私に対し、坂本さんは至って涼しそうな顔。
我関せずと言う様な目で、団子を食べています。
「龍馬…。俺をその仇名で呼ぶなと何回、何十回言わせれば気が済むんだ?
まるで俺が禿げてるみたいだからやめろって言ってるだろうがァ!!」
「近くで叫ぶな、騒々しい。桂とか小五郎よりもヅラの方が短くて言い易いんだよ。分かったか、ヅラ」
「オメェの事情なんて知るか!!今すぐやめろォ!!」
「やなこった」
私は坂本さんとヅラと呼ばれる人の言い争いに、唖然とするばかりでした。
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