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「はっ、はい。分かりました」
私が返事をすると稔麿さんはニコッと笑いました。
それにしても吉田稔麿と言う名前。
何だか無性に聞いたことのありますね。
吉田稔麿‥‥‥。う゛~ん‥‥‥。
「あっ」
「どうしたの?」
「いえ、何でも無いです」
吉田稔麿と言えば、池田屋事件で師匠が戦った人ではありませんか。
私は目の前の人をジッと見ます。
一見すると稔麿さんは刀を握らなそうな優しそうな青年です。
しかし師匠曰く池田屋事件の時、師匠が相手した敵の中で稔麿さんが一番手強かったと言っていました。
確かに稔麿さんは萩にある松下村塾の四天王の一人ですからね。松下村塾の四天王には奇兵隊を作った高杉晋作や久坂玄瑞、入江九一がいたと言われています。
能ある鷹は爪を隠すとはこれの事を言うのでしょうか。本当に人は見た目だけで判断してはいけないんですね。
稔麿さんはしばらく喧嘩する二人を眺めていましたが、一つ欠伸をすると声を掛けました。
「ねぇ、ヅラ」
「稔麿まで俺をヅラと呼ぶな!!」
「はいはい。それよりも、僕達はもう一人探さないといけない奴がいるよね。早く行こう」
稔麿さんが言うとヅラさんは坂本さんとの喧嘩をやめました。
「そうだな。おい、龍馬、おまえも来いよ」
「‥‥‥」
「あからさまに嫌そうな顔をするな。そんな顔をしたって連れて行くぞ」
「じゃあね、蒼蝶。気を付けて帰るんだよ」
「はい、稔麿さん達こそお気を付けて」
「うん」
稔麿さんが頭を優しく撫でてくれました。
この時代に来てから頭ナデナデ率が高いですね。
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