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――蒼蝶の意識が完全に途切れた瞬間、僕は意識を覚醒させた。
目を開いて見えたのは今にも蒼蝶の体に振り降ろされそうな刀。
僕はすぐに落ちていた自分の刀を取り、相手の腹に一太刀を浴びせる。
そいつは声も無く絶命した。
『…危ないな。蒼蝶が怪我したらどうするのさ』
意識は僕でも、体は蒼蝶の物。怪我をして痛い思いをするのはこの子だ。
今の僕は、蒼蝶の体を借りているだけ。
この体には掠り傷一つでもつけられない。
「きっ、貴様、またしても仲間を…!」
今度は三人で刀を振り上げながら突進してくる。
僕はすかさず前にいた男の刀を折り、喉元に刃を突き立てる。
「なっ…!?」
『ほら、驚いている暇なんてないよ!』
すぐさま背後にいた二人も一撃で血の海に沈めた。
『さて、後は…』
裏切り隊士と、蒼蝶が噛んだ男だけか。
僕は血刀を握りながらゆっくりと二人に近づいて行く。
二人は腰が抜けたのか、地面に座り込んだまま動かなかった。
手を伸ばせな届きそうな距離で歩みを止める。
『十番隊の君。裏切り者の末路は知ってるよね?』
「ひっ…」
『裏切り者には粛清…。それが新選組だ。それが分かってて、敵に情報を渡したんだよね?』
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