師匠、私未成年なのに遊郭に行ってもよろしいのでしょうか?

17/50

4486人が本棚に入れています
本棚に追加
/770ページ
少しだけ落ち込んでいると藤堂さんが私の隣に座りました。 「一君だけずるいでさァ。天宮ァ、俺にも酌してくだせェ」 「はい」 藤堂さんの御猪口にもお酌をしてあげます。 「ありがとうな」 「いえ」 藤堂さんのお酌を済ませると、突然襖が開きました。そこには綺麗な着物を着たふたりの芸子でした。 「おばんどす。今日皆はんのお相手をさせて貰います、太夫、千代菊(チヨギク)と」 「天神、明里どす」 明里さんの登場に思わず口がポカーンとなりました。 山南さんも驚いていました。でも、私みたいに口ポカーンとかはしていません。 「近藤さん、太夫と天神を呼ぶなんて奮発したな!」 「まぁ、皆も日頃の隊務を頑張っているからな。その褒美と思ってくれ」 何はともあれ、近藤さんナイスです! 山南さんがとても嬉しそうですよ! ‥‥? どこからか視線を感じました。 視線がした方を見ると千代菊さんが私を見ていました。 「えらく可愛いお客はんどすなぁ」 「ありがとうございます」 「あぁ、可愛い…(欲しいなぁ…ほんま欲しい…)」 「‥‥‥」 千代菊さんの言葉の裏から第二の声が聞こえてくる。ゾクゾクと寒気と冷や汗が止まりません。
/770ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4486人が本棚に入れています
本棚に追加